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専門

  • 社会的学習の適応基盤に関する理論研究

人間には豊かな社会的学習の能力が備わっている。自らの直接経験によらず、他者からの伝聞や教育によって情報を獲得できる社会的学習能力は、情報獲得コスト、情報の集約によるリスク低減という点から不確実環境下において有効に働く (Boyd & Richerson, 1985)。しかし、こうした利益は他者が有効な情報を持っていて、それを提供してくれるという前提が必要となる。情報獲得にコストが伴うと考えれば、「情報探索は他者に任せて自分は他者の獲得した情報にただ乗りする」というフリーライダー問題が発生すると考えられる。こうした問題は社会的学習の有効性にどのような影響を与えるのか、適応論を用いた理論的な検討を行っている (Kameda & Nakanishi, 2002; Kameda & Nakanishi, 2003; 中西・亀田・品田, 2003; 中西・亀田, 2005; 中西, 2013, 2018)。

  • 小集団における意思決定・問題解決

「三人寄れば文殊の知恵」ということわざが示すように、われわれは集団による意思決定や問題解決に強い期待を持っている。しかし、こうした期待がしばしば裏切られることが、様々な実験研究を通して示されてきた (亀田, 1997)。小集団の合議において見られる特徴的なバイアス、様々な集約ルールが決定に及ぼす影響、個人の持つ認知が意思決定をゆがめる可能性、など、集団意思決定に存在する落とし穴は数多くある。こうした問題について、実験的に検討している (中西・亀田, 2001; Ohtsubo, Masuchi, & Nakanishi, 2002; 中西, 2006)。

  • 集団間葛藤 (主に内集団協力/内集団ひいき) に関する理論的研究

集団間の葛藤がなぜ生じるのかという問題、また、集団間葛藤が起こった時の個人の行動・認知の問題について、社会心理学では60年代以降様々な理論によって説明が行われてきた (Sherif, 1966; Tajfel & Turner, 1979; Yamagishi, Jin, & Kiyonari, 1999)。こうした問題を、多重淘汰理論 (Multi level selection; Sober & Wilson, 1999) を用いた進化シミュレーションによって検討したり、野球ファンの内集団ひいきの問題として実証的に研究している (横田・中西, 2012; 中西・横田, 2016; Yokota & Nakanishi, 2017; 中西, 2016; 中川・横田・中西, 2015, 印刷中)。

  • バーンアウトや寄り添いなど、臨床近辺の研究

燃え尽き症候群とも言われるバーンアウトや教育・福祉場面における「寄り添い」と言われる行為について、その解決や効果を検討するというより、そもそもその現象はいかに社会に受容されているのかという観点から研究を行なっている (井川・志和・中西・車地・菊本・井出下, 2010; 井川・中西・志和, 2013a, 2013b; 井川・中西・坂田・浦, 2015; 井川・中西・前田・河野・志和, 2017; 井川・中西, 印刷中)。

  • E-Learningや英語教育に関する研究

使いやすいE-Learningシステムの構築やその評価、英語教育の効果測定に関する研究を行なっている (大澤・中西・土岸・岡田・竹井・有田, 2012; 大澤・中西・吉田, 2012; 中西, 2014; 中西・大澤・大西・岡田・有田, 2015; 大澤・中西, 2015; 大澤・中西・岡田, 2015; 大澤・中西・大西, 2017; 中西, 2018)。